みなさんこんにちは。
少し前に「美容効果がある」とテレビでも話題になった「ヒルドイド」という医薬品をご存知でしょうか。
我が家は私自身と子供が軽いアトピー体質なこともあり、かなり馴染みのある塗り薬です。この「薬」という認識しかなかったヒルドイドが、人気化粧品のような扱いをされていることに驚きました。
個人的に、ヒルドイドに美容効果を感じたことはありません。なぜこんなに騒がれるのか、ヒルドイドの主要成分である「ヘパリン(ヘパリン類似物質)」に秘密があるのでは?と思い調べてみました。
処方箋がなくても購入可能なヘパリンを含む市販品についても紹介したいと思います。
Contents
ヒルドイドって?
「ヒルドイド」はヘパリン類似物質を含む医薬品で、マルホ株式会社が製造販売しています。医師の処方箋が無いと手に入れることができない処方薬です。
テレビやネットから「ヒルドイドが美容クリームとして効果的」という情報が広がり、美容目的で入手しようとする人が増加、医療費を圧迫する事態となっています。
そのため、ヒルドイドとジェネリック医薬品である「ビーソフテン」が保険適用外になる可能性があると知った、以前から使用している患者さんが困惑しているのだそう。我が家も他人ごとではありません。
ヒルドイドは4種類ある
ヒルドイドには「ローション・クリーム・ソフト軟膏・ゲル」の4種類があります。
4種類とも名前に「0.3%」という文言が入っています。この0.3%は主成分であるヘパリン類似物質を指しており、4種類とも含有量は同じということになります。
ヒルドイドローション、クリーム、ソフト軟膏の3つは「保湿剤」、ヒルドイドゲルは「抗炎症血行促進剤」で、下記ような効果効能があります。
血栓性静脈炎(痔核を含む)、血行障害に基づく疼痛と炎 症性疾患(注射後の硬結並びに疼痛)、凍瘡、肥厚性瘢 痕・ケロイドの治療と予防、進行性指掌角皮症、皮脂欠 乏症、外傷(打撲、捻挫、挫傷)後の腫脹・血腫・腱鞘 炎・筋肉痛・関節炎、筋性斜頸(乳児期)
出典:マルホ株式会社
アトピー性皮膚炎の治療中に処方されていたのは「ヒルドイドソフト軟膏」でした。ステロイドの塗り薬と一緒に処方されることが多かったです。
ソフト軟膏以外は使用したことがありませんが、ソフトというだけあって塗りやすく、ベタつきも気になりませんでした。
ヒルドイドローション0.3%
ヒルドイドクリーム0.3%
ヒルドイドソフト軟膏0.3%
ヒルドイドゲル0.3%
スポンサーリンクヒルドイドの成分は?
ヒルドイドの成分に共通するのが有効成分である「ヘパリン類似物質」です。1グラム中に3ミリグラム含まれています。商品名の0.3%というのはヘパリン類似物質の濃度を指しています。
美容的効果があると注目されるからには、何か特別な成分が入っているに違いないと思ったのですが、特徴的なのは「ヘパリン類似物質」のみ。また、さぞかし肌に優しい成分かと思いきや、意外にそうでもありません。
一般的な化粧品に使用されている添加物が入っているのです。
グリセリン、スクワラン、軽質流動パラフィン、セレシン、白色ワセリン、サラシミツロウ、グリセリン脂肪酸エステル、ジブチルヒドロキシトルエン、エデト酸ナトリウム水和物、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル
添加物の中でも「パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル」は、化粧品を選ぶ時につい気にしてしまう「パラベン」のことなのだそう。成分表示だけみると、特別肌に優しい感じは受けません。
ヒルドイドに副作用はない?
ヒルドイドの副作用には下記のようなものがあります。
皮膚炎、そう痒、発赤、発疹、潮紅
これらの副作用は、ヘパリン類似物質によるものではなく、その他の添加物によって発症する可能性が高いそうです。
また、下記に該当する場合は使用することができません。
- 出血性血液疾患(血友病、血小板減少症、紫斑病等)のある患者〔血液凝固抑制作用を有し、出血を助長するおそれがある〕
- 僅少な出血でも重大な結果を来すことが予想される患者〔血液凝固抑制作用を有し、出血を助長するおそれがある〕
出典:マルホ株式会社
ヘパリン(ヘパリン類似物質)とは?
体内の「へパリン」という物質に似た成分で、ヒルドイドの有効成分である「ヘパリン類似物質」。50年以上も前から乾燥肌の治療に用いられてきた成分なのだそう。
保湿作用、血行促進作用、抗炎症作用があるため、肌の内側から新陳代謝を促し、根本から乾燥肌を改善することができます。ワセリンのような単なる一時的「保湿」とは違うという点が特徴的です。
保湿以外には、下記のような症状を改善する効果・効能があります。
- アトピー性皮膚炎
- 血栓性静脈炎(痔核を含む)
- しもやけ
- 筋肉痛
- 関節炎
- 腱鞘炎
- 外傷(打撲、捻挫、挫傷)後の腫脹
- ケロイドなど傷跡の予防や治療
2007年に公開された研究結果では、肌の保湿能力が改善し、肌のバリア機能がアップする効果が認められたそうです。ヒルドイドに美容効果があると言われる理由は、ヘパリン類似物質の「高い保湿力」にあるのだと思います。
アトピー性皮膚炎の治療では、ヒルドイドと共にステロイド剤が処方されていました。炎症が酷い部分には、ヒルドイドを塗布した上からステロイド剤を塗ります。軽いカサカサにはヒルドイドを塗るだけで赤みも引いて保湿されました。ただ、持続性が無いように感じることが多く、1日に何回か塗っていました(個人差あると思いますが)。
スポンサーリンクヘパリン(ヘパリン類似物質)を含む市販品は?
ヒルドイドは処方箋無しでは入手することができません。厚生労働省の調べによると「1回の受診で25グラム入りのクリームを51本分以上処方」と言う例が、平成28年度に1千回以上あったのだそうです。
ちなみにアトピー性皮膚炎の治療で1回受診すると、だいたい2~3本、多くて4本処方される程度でした。51本って・・凄い量ですよね。医療費圧迫問題が浮上するのも納得です。
ヒルドイドが注目されてからは、様々なメーカーからヘパリン類似物質を含む市販品が販売されています。
我が家で常備しているものがこちら。
「グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン」という長い名前の会社が販売する第2類医薬品で、ヒルドイドにかなり近いと言われています。
HPクリームの他に「HPローション」もあります。ヘパリン類似物質の含有量は100グラム中0.3グラム、ヒルドイドと同じ量です。
子供の手に出してみました(カサカサです…)。
クリームの質感、使用感共にヒルドイドソフトに似ています。かなり柔らかく、塗った後もベタベタしないのがとても良いです。
手や足、首などに軽いアトピー症状が出た時はもちろん、子供のほっぺがカサカサの時や、花粉症の時期には鼻をかみすぎて周囲がカサカサになるため、HPクリームを塗って保湿しています。
たまに乾燥が気になり顔全体にガッツリ塗ったりしますが、肌がしっとりモチモチになります。今のところ顔に塗ってもトラブルはありません。
ただ、HPクリームの説明文書には「目や目の周囲、粘膜(口腔、鼻腔、膣など)には使用しないでください」と注意書きがありますので自己責任でお試しください。
60グラム入りのチューブが1,500円弱で購入できます。
その他にも「ヘパリン類似物質」を含む市販薬があります。
ロート製薬「ヘパソフトプラス」
ロート製薬の「ヘパソフトプラス」には、ヒルドイドと同量のヘパリン類似物質0.3%が含まれています。
温感神経に働き痒みを鎮める「クロタミトン」、痒みの原因物質「ヒスタミン」の働きをブロックする「ジフェンヒドラミン」が配合されており、痒みを伴う乾燥肌に最適なクリームです。
クリームの他に顔用のローションがありますが、ヘパリン類似物質の含有量はクリームタイプより少ないそうです。
新新薬品工業「ピアソンHPクリーム」
新新薬品工業「ピアソンHPクリーム」には、ヘパリン類似物質が100グラム中0.3グラム含まれています(ヒルドイドと同量)。
ピアソンHPローションも販売されています。
小林製薬「アットノンEXクリーム」
傷あとがきれいになることで有名な小林製薬の「アットノン」。ヘパリン類似物質は、100グラム中0.3グラム含まれています(ヒルドイドと同量)。
その他に、皮膚組織の修復を助ける「アラントイン」0.2グラム、肌の炎症を鎮める「グリチルリチン酸二カリウム」1グラムが含まれています。
小林製薬「Saiki(さいき)cクリーム」
小林製薬の「Saiki(さいき)cクリーム」。こちらもヒルドイドと同じく、ヘパリン類似物質が100グラム中0.3グラム含まれています。アットノンと同じ小林製薬の商品です。
肌のバリア機能を補う「γ-オリザノール」という成分が配合されています。ローションタイプもあります。
まとめ
ヒルドイドと同量のヘパリン類似物質を含む市販品はわりとたくさんあります。病院でヒルドイドを処方してもらうよりは割高になってしまいますが、ドラッグストアで気軽に手に入れることができるのはありがたいです。
ヘパリン類似物質の保湿力が高いとわかり、今までアトピーの治療薬というイメージしかなかったヒルドイドの見方がちょっと変わりました。(高級クリームとはいかないまでも)
子供から大人まで使用できるので、家庭にひとつ常備してみてはいかがでしょうか。